玄関のドアを5重ロックにしたけど1本失くしたらジ・エンド

 私の夫は超がつくほどの心配性で、時々かわいそうになるくらいである。特に夫の留守中に強盗に入られて奥さんが殺されてしまったなんてニュースが流れようものなら、その日から当分の間は「戸締り」を口酸っぱく言ってくる。そして一日に何度も電話をかけてきて、私が無事かどうかを確認してくる。ママ友には「愛されているのねぇ」なんて言われるけれど、どんなに奥さんを愛していたって普通はそこまでやらないだろうから、やっぱり夫のそれは、愛とはちょっと違うもののような気がする。

 我が家を新築したときは、普通の一戸建て同様2重ロックだった。ところが何年か前に強盗がドアをこじ開けて家に忍び込むという凶悪犯罪がニュースで流れたときにカギが一つ増えた。そして凶悪犯罪を目にするたびに、カギが増え、とうとう今では5重ロックになってしまった。確かに玄関に関して言えばより安全になったと言えるのかもしれないけれど、カギを増やすことによって夫の気持ちを安定させるという効果もあるようだった。

 そんな夫の気持ちを踏みにじるようで申し訳ないけれど、これは日常生活においてはかなり面倒くさい。ただでさえカギの種類は色々あるというのに、玄関だけで5つも必要なのだ。だから夫には内緒だけれど、夫のいない昼のうちはカギを一つしかロックしていない。だっていくら5つのカギで守られているとはいえ、逆に言えば外出中に一本でも失くしてしまったら、それでジ・エンドなのだ。それに一つしかロックをしなくなって久しいが、未だに我が家は無事である。

だけど夫にこんなことを正直に告げたら、きっと彼の心は壊れてしまうだろう。だから私はカギのロックをサボる代わりに、自分の口に5重ロックをし続けようと思っている。